みけ猫のロック

駆け出し漫画家と、占星術な日々

感情の海に潜って、宝石を拾う〜魚座満月図に寄せて〜

8月31日、魚座の満月を迎えた。今回も満月図を眺めながら、世間の空気感を私なりに読んだ上で日々の過ごし方の提案をしてみようと思う。

新月満月図リーディングも今回で4度目になる。毎度ながら新月・満月のタイミングに間に合っていないが、土サインを持たない私がそれなりに継続して更新していることを自己評価したい(ごめんなさい、言い訳と正当化です)。

感情が揺さぶられそうな星の配置

2023/08/31 魚座満月図

今回の満月図、なんといっても陰サイン(水・土)が強い。10天体のみで読んでいるが、唯一の陽サインである金星と火星は主張が控えめだ(金星は獅子座であるものの逆行中、火星は天秤座でデトリメントと品位がよくない)。
陽サインのカラッとした感じが弱いため良くも悪くもこだわりが強くなりやすく、空気感としてはねっとりとした重さを感じる。

特に水サインの強調から、感情が揺さぶられやすかったり、感情的になりやすい満月になりそうだ

どんな部分で感情的になりやすいのかは、アングルがすべて不動宮なことから「価値」がテーマになってくるのだろうと思う。アセンダント蠍座が象徴するのは、他人の価値だ。誰かの魅力や価値が見えてくる中で、自分はちっぽけな存在だと自信を失ったり、自分に価値があるのかどうかわからなくなったり。他人と比較する中で劣等感が強くなったり、無力感を感じてしまったり。そんな風に感情が不安定になりやすいムードが漂っている。

さらに魚座の月は北半球(=下側)に孤立しており、土星コンジャンクションしている。孤独感が強まる中、自分自身の心を抑圧してしまいがちになる人が多く出てくるのではないだろうか。

……と、のっけからうっかりネガティブな読み方が続いてしまったが、この不安定な満月を健全に乗り切るためにはどうしたらいいのだろうか?

①いっそ感情の海に溺れてみる

今回の満月直前・直後に近所の海を散歩していて気がついたのは、見たこともないくらい海の潮が満ちていたということだ。満月・新月は大潮になるのだが、こんなに海面が高いのを見たのは海沿いに住んで3年目にして初めてだ。今回はスーパームーン(月が最も地球に近い地点で起こる満月のこと)らしいので、もしかしたらその影響もあるのかもしれない。

たまに座ってボーッとする場所も海に沈んでいた


少し高い波が来ればすぐに飲み込まれそうなほど近い海面を見て一番に感じたのは、「怖いな」という感情だった。
水サインの象徴については勉強中だが、満ち満ちた海面を見て「豊かであるゆえの怖さ」を思わずにはいられなかった。感情豊かだからこそ、豊かな感情は大きく揺さぶられ、波打つ

余談だが、私は元々かなり感情的な人間だったと思う。とはいえ太陽以外の個人天体4/5が陽サインであり、どちらかというと気質としてはカラッとしていて執着がないはずだ。思うに水星以外すべての個人天体に蠍座冥王星がタイトにアスペクトしており、外部から感情を揺さぶられる体験が多かったのだと思う。
色々と生まれ直す体験を経て、次第に本来のカラッとした気質も発揮できるようになってきた。生まれ直すタイミングで徹底的にしたことは、自分の感情を深く味わい尽くすということだった。

満ち満ちた海が怖いように、自分の中の大きな感情と向き合うことは恐怖だ。見たくないもの、きれいとは言えない怒りや悲しみ、憎しみといったものも感情の海の中にはたくさんあるからだ。

でも、だからこそ、感情の海の中は豊かな価値の宝庫だと思わずにはいられない。きれいなものも汚いと思っているものも含め、自分の感情を深く深く味わい尽くす。自分の多様な側面を知る。未知のものは怖いけれど、知ってしまえば意外と怖くなくなったりする。
そうやって味わい尽くした感情の波が引いたあとには、自分自身の本音だったり、発見だったり、自分にとっての価値あるものが浜辺に打ち上げられている。感情の海から出てきた貝殻や石を拾って、自分自身の価値ある宝石に変えていく
作家として、人間として、そんなことを常々やっているように思う。

陰サインの強い今回の満月では、自分の感情の海を、感じたままに味わってみることが大切になってくるのではないだろうか。もう、引っ張られるだけ感情に引っ張られてみる。深くまで潜っていってみる。なんならいっそ、溺れてみる。
でもただ引っ張られるだけだとつらいし、状況は改善しないので、感情の海の中で何かしらを発掘してみてはいかがだろうか。自分の本音でもいいし、今まで何度か陥ってきた失敗を発見するでもいい。自分だけでなく、色々なことに通じるような発見ができたらさらにすごい。大切なのは、醜い感情からも目を背けないで向き合ってみることだ。

さらに水星が乙女座にあることから、自分自身を知り内省するにはこれ以上ない最適なタイミングだ。しかもこの水星は牡牛座の天王星木星とも調和的な角度を取っており、周りから必要とされる自分の価値を再発見しやすいタイミングとも言える。感情を味わい尽くすことで、自分の宝石が見つかりやすい時期なのだろう。

少しでも冷静に感情を味わうためには、感じたことや考えたことを紙に書き出してみることがおすすめだ。ポイントは、嘘偽りなく吐き出すこと。文字にすることで、自分はこんな風に感じていたんだな…と感情を俯瞰して眺めることができるだろう。

満月3日前くらい。1年で最も大きな月明かりは、私たちの感情も照らしてくれるだろう

②他人との差異から、自分だけの原石を見つけ出す

不安定さを乗り切るためのもう1つの提案は、他人との差異をポジティブに捉え直すことだろう。

MCが獅子座なので、この時期意識していきたいのは個性的な自分自身に返っていくことだ。とはいえ自分自身だけを見つめていても、他人と違う個性は浮かび上がってこない。無いものにばかり目がいってしまうかもしれない。

アイデンティティや生き様を表す火星は天秤座にあり、海王星冥王星と角度を取っている。他人と比較する中で気にしてしまうような弱みは、裏を返せば自分自身の他者にない特徴、個性である。物事は表裏一体なので、弱点は視点を変えれば自分の強みにもなるだろう。弱点やコンプレックスを武器に変えていこうという姿勢が、無力感を乗り越えていくためのポイントになってきそうだ。おそらくここを乗り越えられた人は強い。

そのためにもまずは人と会う、話す。好奇心を持って、誰かの話を聞いてみる。そんな小さなアクションが、他人と自分の違いを発見するきっかけとなっていくだろう。そして他人の良さ、他人の価値を認めることだ。その上で他人との差異を意識しながら、他人にはない自分だけの原石のきらめきを見逃さないようにする。

周りとの比較の中で劣等感という感情の海に飲み込まれながらも、唯一無二な自分の個性を探していく旅の道のり。これこそが、今回の魚座満月図から読み取れるストーリーではないだろうか。


私は「生きているだけで価値がある」という言葉に対して(他人を賞賛することでコントロールしたい欲望が透けて見える綺麗ごとだな…)と思ってしまうタイプの人間だが、「価値に変えられるような資質(原石)は誰でも持っている」ということは心理占星術を通して実感しているし、信じてもいる。もちろん人によって、持っている資質や創ることのできる価値は違う。自分の持たないものではなく、自分の持っているものに目を向けてみるだけで、世界の見え方は大きく変わってくるのではないか。

磨けば光る原石は、みんなきっと持っている。だから見つけて、磨くだけだ。他人と比較して劣等感に苛まれるようなことがあれば、このことを思い出してもらえたら嬉しい。

他人の思惑に飲まれてたまるか

劣等感を感じやすいこと以外にこの時期陥ってしまいやすい注意点としては、他人の価値観に飲まれてしまうことだ。
誰かの思惑に踊らされてないだろうか?同情を引こうという思惑に飲まれ、誰かの涙や悲しみに過剰に反応していないだろうか。もしくは怒りを利用されて、石を投げる「その他大勢」として炎上に巻き込まれたりしていないだろうか。

獅子座金星は牡牛座木星とスクエア。自分が正しいと思うことに固着して、本質を見失ってしまうようなことも起こるのかもしれない。
その正しいと思っている価値観は、本当に自分の腹の底から出てきた価値観ですか?誰かの言葉や価値観をトレースしたものではないですか?

この時期避けるべきは、他人や社会のコマになってしまうこと。同情や怒りを煽るような誰かの態度、夢を見させるような甘い言葉や承認に惑わされないように気をつけたい。他人は他人、自分は自分。他人を観察しながらも、フォーカスは常に自分自身に当てるようにしたい。あなたは誰かや社会のコマではなく、あなた自身の人生の主人公なのだから。

まとめ

タイミングを逃したのでゆるく読むつもりが、結局全力で読んでしまった。ある意味書きながら感情を揺さぶられ筆圧が高くなってしまうという、今回のリーディングをそのまま体現したような執筆体験だったかもしれない。

自分の感情は大切にね。価値の原石はみんな持ってるからね。他人を見つめることは大切だけど、自分自身のことに集中しようね。
そんなことを私自身にも言い聞かせながら、この記事を読んでくれたあなたが実りある魚座満月シーズンを過ごせることを祈っています。