みけ猫のロック

駆け出し漫画家と、占星術な日々

向上心を持てる環境、そうでない環境

その昔、超零細ブラック広告代理店のグラフィックデザインの仕事に未経験で飛び込んだことがある。どうしてもクリエイティブな仕事に方向転換をしたかった頃。まともな会社で未経験で雇ってくれるところなんてなかったので、20人程度の規模なのに私が働いた2年間で12人も辞めるような入れ替わりの激しすぎる会社だったんだけど。

初出勤するも、納期に追われて手一杯な先輩方は私に一からイラレ(デザインソフト)を教える余裕なんてなく。助言をもらいながら、使い方を検索してイラレを覚えていくというこの上ないオン・ザ・ジョブ・トレーニング(思えば会社員時代は新卒の頃からずっと前線にいて、まともな研修を受けたことがない。新卒でJTCでの就活を失敗したゆとり世代の末路である)。

一気に覚えるのは無理なので、一案件やる度にイラレの技術を一つだけ身につけるようにした。

ある程度使いこなせるようになってからも同じように、一案件やる毎に技術や知識を一つ試してみるようにしていた。そうやって成長の実感がないとすぐに飽きてしまうタイプだから、この方法はモチベーションを常に保つのに役立った。

結果的に素材を作る側になりたくなってイラストで独立したけど、会社にいるのに1日中デザインソフトをいじっていられるグラフィックデザインの仕事はまるで天職だ!と当時は思っていたものだ。

その時に身につけたことが今でも生きていて、漫画を描いている今も連載1話ごとに毎回作画の実験をするようにしている。単調な作業なので、そうでもしないとモチベが続かないから。
(アシスタントさんに入ってもらう前はそうした工夫する余裕すらなかったので、工夫できる余地があることに感謝しないとな、とも思う。)

 

 

ところで、学生時代に一瞬だけ付き合った人に「君は向上心がないところをどうにかできないの?」と言われたことがある。全く別の人に職場で「あなたは向上心の塊みたいな人だね!」と言われたことがある。すごくちゃんとしてるね、と言われた場面もあれば、頑張れない子だよねと言われたこともある。

人や場所、状況によってその人の印象は180度変わるらしい。仕事も生活能力も対人関係も勉学もすべて80点くらい叩き出せるような人材だったら良かったんだけど、私には難しかったわ。20代は自分に合う場所を求めてずーっともがいていたような気がする。

 

飽くなき向上心を持ったうちの猫(高いところを求めて登ろうとする、という意味で…)


今は作家の仕事をもっともっと深めていきたいと思ってる。5年後、10年後に何を考えているかはわからないけど…好奇心のあることにだけは貪欲になっていける姿勢は、たぶんずっと変わらないのだろう。

久々に社名を検索したら、かつて勤めていた超零細ブラック広告代理店は未だに健在らしい。三度目の労基は入っていないということか。多少は変われど、本質的な部分はきっと変わっていないのだろうなぁと、少し老けた社長の写真を見て思ったのであった。

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(追記 2023/07)
現在、無事占星術にどハマりしてこちらにも好奇心と向上心をバリバリに発揮させている。凸凹が大きいから苦手なことは本当にできないのだけど、好きなものや極めたいものに関しては飽くなき向上心を持つことができるらしい。凸凹の大きさからいろんな人に違う評価をされるけど、やりたいことに対しての向上心と好奇心の大きさは、自分に対しての信頼があるなぁ。だから10年後も変わっていないんだろうなって思った。体力とか集中力とかは、加齢でさらになくなっていそうだけどね…。