みけ猫のロック

駆け出し漫画家と、占星術な日々

悲しみを味わい尽くすようにしている

春の気配を感じたから、ほぼ日が沈んでから外に出る。今日はよく晴れていたけれど、徹夜明けで締切間近だったから暗い部屋に缶詰めだった。マスクを外して満ちてきた春の匂いに、足取りが軽ろやかになる。コートは着ないけど、寒くない。6時半だけど、まだ薄暗い。ようやく春がこの島にやってくるらしい。

冬が本当に苦手なので、毎年春の気配を確認するたびに「今年も生き延びたなぁ」と言う気持ちになる。それくらい、春は私にとって希望。

気づけば2月4日を過ぎていて、離婚から丸2年が経っていた。去年は独立記念日!なんて言っていたような気がするけど、今年はそもそも記憶から抜け落ちていたことに気がつく。

人間関係で嫌な思いをすると恨みつらみが尾を引くけど、愛や恋愛感情に関してはすぐに忘れ去る性らしい。
それはきっと、別れのときはいつも生身で思いきりぶつかって向き合って、言いたいこと全部言って言われて、世界が終わるまで泣き倒してきたからだろう。

一刻も早く悲しみを忘れ去るために、私はいつも失恋や喪失の悲しみはとことんどん底まで堪能することにしている。悲しみに浸ることから逃げてしまったら、未練が消えないからだ。
それに悲しみを味わい尽くして、自分の底の方まで沈んでいくと、必ず新しく出会える感情や学びがある。それらは、どういうわけか世の中の普遍的なことと繋がっているのである。
おそらく私は深い悲しみの底から見つけた発見を人生の糧にし、作品としてアウトプットしているのだと思う。とはいえ喪失の苦しみばかりは、何回やっても慣れないけどね。

そうやって悲しみを味わい尽くしたら、いつの間にか春が来ている。結局忘れてしまうことは、寂しいような気もするけれど。忘れるだけが人生か、と思うこともあるけれど。
それでも、今年も生き延びたから。冬を味わった分だけ、春を味わおうと思うのだ。


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