みけ猫のロック

駆け出し漫画家と、占星術な日々

誕生日を特別な日にする試み

 

誕生日はいつも、なるべく平日だと思って過ごすようにしてきた。

 

特別な日なのに、誰からも祝われないことが怖くて予防線を張っていたのかもしれない。

予防線を張って最初から大きな期待をしないようにしておく。思えばこれは月星座が獅子座の、自意識過剰な私が傷つかないための処世術だった。
初めて結婚したときも、連載が決まったときも、単行本が出たときも、なるべく浮かれないように。調子に乗らないように。そうやって、謙虚"風"に生きてきたつもりだった。

 

 

風のように生きる人

32歳、風のように生きる人と仲良くなった。友人と呼んでいいかわからないけど、彼は「自分のことが大好き」と豪語する。人目に縛られず、自分のやりたいように生きている。だから私は彼を「風のように生きている」と思った。


一見同世代には馴染まないんじゃないかと思う彼は、全く嫌味がなく人気者だった。何せ自分の好きなように生きているから、他人にとやかく口を出すことがないのだ。俺は俺で最高、あいつはあいつで最高、みたいな。かといって深く考えていない訳ではなく、時々本質をついた発言にハッとさせられることがある。おそらく、他人に思うところがあっても干渉しないのだろう。それはきっと彼自身が干渉されることに抵抗し続け、今の彼を生きているからだと思う。

自由って何よりも大切なことだと、俺は思ってるんだよね」

そんな彼の一言が忘れられない。

 

風のように遠くに引っ越していってしまった彼だが、彼の生き方や在り方は私に強いインパクトを与えていった。

良くも悪くも繊細な性分の私は彼のように生きることは難しいと思ったけど、彼の生き方を自分の人生に少しでも取り入れることができたら、もっと肩の力を抜いて生きられるようになるんじゃないか。そう感じた。

 

そんな彼の誕生日パーティーに参加したとき、彼は1日中「今日の俺は最強!大吉!だって誕生日だから!!」と言い続けていた。

 

そうだよね。
誕生日って本当は嬉しいし、自分にとって1年の中でも最も特別な1日のはずなのだ。

 

だから私も33歳の誕生日は、特別な1日として丁重に扱うことにしたのだ。
誰からも祝われなくても構わないから、せめて自分だけは盛大に自分をお祝いしてあげよう、と。

 

だから33歳の誕生日は、ビーチでアウトドアチェアを広げて、コンビニのカフェラテを買ってしばらくボーッと海を眺めて過ごした。最高!

 

自分のために買ったお財布

この日のために、ずっと欲しかった文庫革の財布を買った。

世の中の人がどれだけ財布に予算を割いているのかいまいちわからないけど、私はずっと財布にこだわりのない人間だった。
そんな私が初めて欲しいと惹かれた、伝統工芸の文庫革の財布。

正直財布にお金を使うことに抵抗があったけど、思い切って買った。

自分への誕生日プレゼント!と思って買い物したことは過去にもあったような気がするけど、全部忘れてしまった。今回は特別「自分への誕生日プレゼントを買う」という気持ちで購入したから、ずっと覚えていると思う。

なにせこの1年は本当によく働いた。人生でいちばんがむしゃらに働いて、いちばん稼いだ1年だった。この稼ぎで次の連載まで食い繋いでいかなきゃいけないと考えるとまあ、そこまでたくさん稼いだとは言えないのだけど、新卒からずっと真面目に働いているのにワーキングプアだった身としては、経済革命のような1年であった。

自分が欲しいと思ったものを、自分のお金で買えるという喜び。
遅まきながら、この財布を買うことでことさらそれを実感できたように思うのだ。

 

私は自分で自分を喜ばせることのできる人間でありたい。
自分で自分を満たせる人間でありたい。
そしたらきっと、誰かを満たすこともできると思うから。

 

この歳になって、工芸品に惹かれるようになった。革に彩色した文庫革のお財布。

 

33歳の誕生日に買った、ラッキーアイテムのお財布。

普通の革財布と違うけど、短くても3年は使えるだろうと考えると、きっと35歳はこの財布と共に迎えることになるだろう。

 

35歳。どうなっているかな。

 

35歳の誕生日も特別な日として自分で祝ってあげられるようにするためにも、まずは33歳の1年間をしっかり頑張ろうと思った。
まだ見ぬ私をつくるのも守るのも、今の私だけなのだから。

 


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お題「財布へのこだわりありますか?」